不貞(浮気)や虐待のような明確な離婚理由がなくても、結婚生活を継続することが極めて難しいと認められるようなすれ違いがある場合には、法律上も離婚が認められています。
また、法律上の離婚理由がなくても、双方が合意できれば離婚になるのですから、上手に離婚に向けた話し合いをすることも重要です。実際に離婚の理由の過半数は性格の不一致を理由とするものといわれています。
不貞を理由に離婚を求める場合には、その証拠があった方が有利です。電話やメールの履歴、SNSでのやり取りを写真に撮る他、探偵(調査会社)に調査を依頼することで有力な証拠を入手できることもあります。
自らが離婚の原因を作った場合(有責配偶者)でも、離婚を求めることができます。ただし、別居が長期化しているなど、婚姻関係の破綻が明確で、その間、十分な生活費を支払うなどの態度をとっておくことも求められます。
同じ家に住んだまま、離婚の協議や手続を進めることもできます。ただし、相手が離婚を望んでいない場合、まずは別居をした方がその後の手続がスムーズに進むことが多いです。
まずは冷静に話し合われることをお勧めします。家事放棄は、その程度や期間などの事情により、離婚の理由として認められる可能性がありますが、離婚の意思が固いのであれば別居を検討することもお勧めします。
不貞や暴力、長期の別居など婚姻関係が実質的に破綻している場合でなければ、一方的に離婚が認められることはありません。相手との関係を修復することを目的として夫婦関係円満調停という手続を家庭裁判所に申し立てることもできます。
住まいを知られないようにシェルターを利用する方法、裁判所に接近や電話を禁止する「保護命令」を発令してもらう方法などがあります。
弁護士を代理人として窓口にすることで、相手と会ったり話をしたりせずに離婚手続を進めることができます。
夫婦の財産がどれくらいあるかが把握できていないと財産を隠され、十分な分与が受けられない可能性があります。裁判所を使って資産を調査する手続きもありますが、できる限り離婚の話を切り出す前に、夫婦の財産を把握しておくと良いでしょう。
原則として一律に財産を半分ずつ分けるという考え方が近年の裁判所の傾向です。ただし、明らかに一方の貢献が大きい場合には、それ以外の判断をした事例もあります。
一方の合意で分割することもできますし、分割割合について合意ができない場合に、裁判所の審判や裁判お手続きにより分割手続をすすめることもできます。
原則として、結婚前から保有していた財産は離婚時の財産分与の対象にはなりません。
相続で得た財産は離婚時の財産分与の対象にはなりません。
財産分与は、夫婦が協力して築いた財産を離婚時に分けるという制度です。従って、婚姻関係が破綻して別居していた場合には、夫婦の協力が認められないため、別居後に築いた財産は分与の対象とはならないのが原則です。
現在の住まいが賃貸の場合、契約者がご自身かを確認してください。ご自身でない場合には賃貸人に名義の変更を依頼する必要があります。
現在の住まいが持ち家である場合は、財産分与として他の財産と合わせて分与内容を決めることになります。登記の名義を変更する必要がある場合もありますし、ローンが残っている場合には銀行との交渉も必要となります。
自分から家を出た場合も婚姻費用を請求することができます。
別居や離婚の原因を作った側の人でも婚姻費用を請求することはできるのが原則です。特に、子どもと一緒に別居している場合には子ども生活費の支払いを求めることができます。
夫婦それぞれの収入、子どもの生活をどちらが見ているかや子どもの人数、子どもの年齢などを考慮して決まります。
話し合いで合意できない場合、裁判所に調停を申し立てることにより、裁判所が相手の収入を調査したり、推測される収入の額を基にして婚姻費用の支払いを命令してもらうことができます。
婚姻費用は夫婦がお互いを扶助する義務を根拠とするので、離婚を前提としない別居の場合でも請求することができます。
慰謝料の金額はその態様や不定の期間、双方の経済的な事情を考慮して決められます。実際には、裁判所で決められる慰謝料額は100~200万円の範囲が半数以上です。
双方に離婚の原因がある場合、お互いに慰謝料は請求できないこともありますし、より責任が強い側が慰謝料を支払わなければいけないこともあります。
離婚をせずに、浮気相手に慰謝料を請求することもできます。
離婚の原因を作った側の親(有責配偶者)であっても親権者になることができます。裁判所は、どちらの親を親権者にすることが子どものためになるかという観点から判断をします。したがって、離婚の原因よりも、それまで子供と接していた時間、おじいちゃんやおばあちゃんの協力を得られるか、子どもの年齢、子どもの意思などから親権者が決められます。
離婚時に双方で合意すれば、父親も親権者になることができます。合意ができない場合には裁判所が親権者を指定します。子どもの年齢が低い場合には、母親が親権を希望する場合には母親が親権者と指定されるケースが多いです。子どもの年齢が高くなってくると子どもの希望が尊重される傾向にあります。
一旦決めた親権者が絶対ではなく、変更することができます。虐待など明らかに子どもに害がある場合は、裁判所に審判を申し立てることによって親権者の変更を認めてもらうことができます。
離婚後も子どもが両方の親と交流を持つことは、子どもの健全な発育のためになるため、面会交流は子どもの権利であると言われています。離婚の原因を作ってしまった側でも、「子どもを虐待する」「連れ去りの危険がある」「極度に甘やかす」などの極端な理由がなければ、定期的に子どもと会うことが認められます。
離婚後だけでなく、離婚協議中であっても子どもに会うことを求めることができます。
親同士の協議により合意できれば可能です。合意ができない場合に裁判所が認める面会交流は、月1回程度で泊まりを伴わないものに限られることが多いです。
双方の話し合いができれば、祖父母との交流も認められます。ただし、法律上の権利ではないため、裁判所がこれを矯正することはできません。
直接子どもを連れ出すことを強制することはできませんが、裁判所に申立てをすることにより、約束通りに面会交流させない親にお金の支払いを命令することにより、間接的に面会を強制する手続きをとることができます。
裁判所は一般的に子どもが20歳になるまでの間の養育費を支払うよう考えます。これは、以前の民法が20歳を成人と考えていたからです。現在は成人の年齢が18歳に引き下げられましたが養育費の支払いは20歳までという運用は変えられていません。もちろん、これと異なる合意を双方の親ですると、その合意が優先されます。
養育費の額は、将来子どもが進学することも予定して決められますので、入学金や学費がかかることから改めて増額を請求できないのが原則です。ただし、私学の進学を相手が承諾していて、十分な支払い能力もある場合には、例外的に養育費の上乗せを求められる場合があります。
一度決めた養育費の額は絶対的なものでなく、お互いの収入が大きく増えたり、減ったりした場合には、相手から増額や減額を求めることができます。
子どもが養子縁組をした場合、新たな養親が子どもを扶養する義務を負います。したがって、養育費の支払いをストップする、あるいは減額することを求めることができます。